一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会

【AYA研ブログ】AYA教育webセミナー in 北海道大学病院

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理事長 堀部敬三さん
 

第5回AYA教育セミナーを、9月19日土曜日、Web開催いたしました。今回は、北海道大学における厚生労働省 造血幹細胞移植医療整備事業と小児がん拠点病院機能強化事業との共催で実現いたしました。
第1回教育セミナーから共通して“患者中心の意志決定“をテーマに企画してまいりましたが、今回は、このテーマでの最終回でした。

(左上:総合司会:北海道大学病院 小児科 助教 長祐子さん)

まず、東北大学大学院教育学研究科 准教授 吉田 沙蘭さんから、「AYA(思春期・若年成人)世代患者の意思決定に関する心理学的知識」についてお話いただきました。AYA世代の意志決定において、社会的な側面は重要な関心事ではあるけれども、必ずしも治療を大きく左右する要件ではなく、治癒の可能性に関する情報が最も影響する因子であること。支援を考える上では、A(思春期)世代とYA(若年成人)世代で違いがあること。YA世代の意志決定支援のトピックは特有であるものの、支援の方法は基本的に一般成人と同じであることなどの講義をいただきました。
次に、静岡がんセンター がん看護専門看護師 津村 明美さんから、「AYA世代がん患者・家族の意思決定における実際」として、AYA病棟での現場から造血器腫瘍患者・家族に向けたケアの実際について、AYA世代が直面する診断・治療の過程の中での苦悩、彼らの力を支えるために支援者としてできることについてお話いただきました。

第2部は、北海道大学病院 看護師長 石岡 明子さんが聞き手となり、小児期とAYA世代にがん治療を経験した現在AYA世代がん経験者のお二人から貴重なたくさんのお話をいただきました。診断から現在まで、立ち止まらざるを得なくなることしばしばあれども、その都度、ご家族や、仲間、日常に出会った傍にいた人たちの言葉や行動の中から力を得て、自分らしく歩みだしておられる頼もしい姿を見せていただきました。支援者としてできること、配慮すべきことへの新しい気づきをいただきましたし、同じ立場におられる方たちには、自分の少し先にある光が見えるような時間だったと思いました。ご登壇いただいた経験者のお二人に感謝いたします。

(左:北海道大学病院 小児科 教授 真部淳さん)

今回は、文部科学省 多様な新ニーズに対応する『がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)』養成プラン、思春期・若年成人(AYA)世代がん患者の包括的ケア提供体制の構築に関する研究班(清水班)、北海道・AYA世代がん患者・家族支援ネットワーク構築プログラムの共催もいただき、AYA世代の支援を考える多くの力が北海道で動き出していることを心強く感じる開催となりました。
次回、第6回教育セミナーは、「自分らしく生きる」をテーマに2021年1月30日土曜日にWeb開催で準備中です。ぜひ、みなさま今後のAYA教育セミナーにご期待ください。

担当:AYA研 教育・研修委員会 委員長 小澤 美和
(聖路加国際病院 小児医療センター)