一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会

会長挨拶

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第1回AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会
会長 堀部 敬三
(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター長)

_AYA(思春期・若年成人)世代は、がんの生存率の改善が他の世代に比べて必ずしも十分でなく、就学、就労、恋愛、結婚、出産、子育てなど世代特有の課題を抱えています。平成27~29年度厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)「総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」班において全国調査が実施され、患者・家族のニーズとAYA世代のがん医療の実態が明らかになりました。患者・家族に多様なニーズがある一方で、AYA世代のがん患者は少なく多領域に広がっているため診療現場で経験が蓄積されにくく、医療と支援の質の向上が求められています。
_これらの課題の解決に向けて、一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会(AYA研)を設立し、この度、第1回学術集会を開催する運びとなりました。本学術集会は、医師や研究者のみならず、AYA世代がんの医療や支援に関わる多職種の方々、および、自ら活動されている患者の皆さんが参加して、対等の立場で討議し、学際的交流を通じて新たな連携やネットワークの構築を目指しています。今回、初めての学術集会ということで、テーマを「AYA世代がん医療と支援のこれからを語る」とし、キャッチフレーズを「協働 発進! 夢・希望・未来」としました。学術集会は、基調講演2題、教育講演2題、シンポジウム2セッション、ランチョンセミナー、そして、ポスターセッションが企画され、テーマにふさわしい充実したプログラムになっています。AYA世代がんの医療と支援に関わる人たち、そして、患者さんたちが連携して、明るい未来を描く第一歩となることを期待しています。
_AYA世代がん医療や支援に関わる皆様に、是非、本学術集会にご参加いただき、情報共有および交流を通じて明日からのより良い医療と支援の提供に繋げていただきたいと思います。
_なお、本研究会では、様々な立場の方が参加されることから、会員同士を「さん」付けで呼び合うこととしています。ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
_2019年2月11日に名古屋で皆様にお会いできることを楽しみにしております。


【高額療養費の改訂に関する声明文】
2025年度予算案に関する厚生労働大臣と財務大臣の折衝において、医療費が高額になった場合に患者の自己負担額を抑える「高額療養費制度」について、 ひと月あたりの負担上限額が、2025年8月より段階的に引き上げられることが決まりました。 これに対し、患者団体などから、命に直結する治療への影響や治療と生活の両立への不安、拙速な議論に基づく政策決定プロセスの問題に対して、反対の声が上がっており、 そこには多くのAYA世代のがん患者やその家族、支援者の声が含まれています。 がんに関わる医療費による経済的負担は、キャリアや家庭の形成期にあり、経済面での不安がある多くのAYA世代の患者・家族にとって、現状でも重たいものです。 負担額の引き上げは、治療選択だけでなくライフプランにも影響を及ぼし、経済的理由により本来守るべき健康を損なう事態にも陥りかねません。 AYA研は、AYA世代のがんの当事者と医療者、両者の立場から、この政策に反対するとともに、AYA世代の患者の経済的な実態と負担上限額の引き上げが及ぼす影響を精査し、 政策の実施を再考することを求めます。