一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会

【AYA研ブログ】第1回AYA世代がんアドバンス研修会を開催いたしました

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2025年12月6日(金)、オンラインにて「第1回AYA世代がんアドバンス研修会」を開催いたしました。アドバンス研修会は、AYA世代がんサポート研修会を受講した方を対象に、その後の継続的でより深い学びの機会を提供できるよう今年度初めて企画・開催された研修です。AYA世代がん患者支援における専門テーマを掘り下げ、より高度な知識や倫理的な視点、そしてチーム医療におけるリーダーシップを学ぶことを目的としており、今回のテーマは「妊孕性」でした。全国各地より、看護師、助産師、医師、薬剤師、理学療法士、公認心理師、医療ソーシャルワーカー等、25名の方にご参加いただきました。

 はじめに実践報告として、がん治療施設側からの生殖医療施設との施設間連携について、また生殖医療施設の施設内連携についてのミニ講義が行われました。
続いて行われたグループワークでは、A世代(思春期)とYA世代(若年成人)の2症例における事例検討を行いました。A世代では「白血病と診断された17歳男子高校生の事例」を、またYA世代においては「乳がん/HBOCと診断された37歳女性の事例」をもとに、複雑な状況における妊孕性の意思決定支援および具体的なコミュニケーション方法について検討しました。
 正解が一つではない、倫理的にも判断に迷うような難しい場面に対し、それぞれの専門性を持ち寄りながら、多職種での専門性を活かしてチームとしてどう支援するかについて熱い議論が交わされました。オンライン開催ではありましたが、画面越しにも参加者の皆様の真剣な眼差しと熱意が伝わってくる、非常に濃密なディスカッションとなりました。
 研修の締めくくりとして、今回の学びを自施設でどう活かすか、明日からの実践に向けたアクションプランを検討しました。自身の課題や施設の現状を見つめ直し、具体的かつ実行可能な次の一歩を共有し合うことで、参加者同士が互いに刺激を受ける素晴らしい時間となりました。

 また、研修の最後には、事前申し込み時にいただいた質問の中で研修では回答しきれなかった内容をまとめたQ&A集をお渡ししました。参加者の皆様から寄せられた質問に対して、AYA研メンバーの知恵を結集させて作成された回答は、どれも専門性が高くかつ現場の実践に即した内容となっており、今後の支援を行う上で非常に有益な資料となるのではないでしょうか。
 アドバンス研修会は、今後も様々なテーマでの開催を予定しています。テーマが変わることで、支援における新たな視点や気づきが得られるよう企画してまいりますので、今回ご参加いただいた方もぜひ継続してご参加いただければと思います。
 これからも皆様と共に、AYA世代のがん患者さんとそのご家族へのより良い支援を探求していけることを楽しみにしております!


【高額療養費の改訂に関する声明文】
2025年度予算案に関する厚生労働大臣と財務大臣の折衝において、医療費が高額になった場合に患者の自己負担額を抑える「高額療養費制度」について、 ひと月あたりの負担上限額が、2025年8月より段階的に引き上げられることが決まりました。 これに対し、患者団体などから、命に直結する治療への影響や治療と生活の両立への不安、拙速な議論に基づく政策決定プロセスの問題に対して、反対の声が上がっており、 そこには多くのAYA世代のがん患者やその家族、支援者の声が含まれています。 がんに関わる医療費による経済的負担は、キャリアや家庭の形成期にあり、経済面での不安がある多くのAYA世代の患者・家族にとって、現状でも重たいものです。 負担額の引き上げは、治療選択だけでなくライフプランにも影響を及ぼし、経済的理由により本来守るべき健康を損なう事態にも陥りかねません。 AYA研は、AYA世代のがんの当事者と医療者、両者の立場から、この政策に反対するとともに、AYA世代の患者の経済的な実態と負担上限額の引き上げが及ぼす影響を精査し、 政策の実施を再考することを求めます。