一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会

【AYA研ブログ】第3回AYA研学術集会ライブ配信2日目

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第3回AYA研学術集会ライブ配信2日目

【教育セミナー5】
2日目のプログラムは、千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 岩澤俊一郎さんによる教育セミナー5 「急速にひろがるがん免疫療法 その副作用(irAE)と適切に“お付き合い”するために」から始まりました。

現在、AYA世代を含む多くのがん種に対して免疫チェックポイント阻害薬が治療として使われています。免疫チェックポイント阻害薬は免疫関連有害事象(irAE)と呼ばれる多彩な副作用の病態が課題となっています。しかし、この副作用は効果の側面をみている可能性も高く適切にお付き合いしていくための対策と体制の構築について分かりやすく説明して頂きました。

【シンポジウム3】
シンポジウム3では、「がん経験者の長期的健康管理-領域横断的取り組みの現状と課題」という話題が取り上げられました。

大阪国際がんセンター 向井幹夫さんから小児・AYAがんサバイバーの晩期心毒性に対する腫瘍循環器学におけるアプローチについて、国立国際医療研究センター メディカルゲノムセンター 加藤規弘さんからは、個々人にフォーカスした健康医療情報の利活用システムは急速に変遷し、予防/参加型医療へとシフトしつつあることについて、福島県立医科大学医学部 地域・家庭医療学講座 菅家智史さんからは、AYAがん医療においてプライマリ・ケア医が貢献できることについて、国立がん研究センター 社会と健康研究センター 健康支援研究部 松岡豊さんからは、日本のがんサバイバーシップガイドライン提言を目標にした研究班の身体活動に関してまとめた内容について発表がありました。また、ディスカッションではそれらをどう繋げて活かしていくか話し合われました。

【教育セミナー6】
つぎに教育セミナー6では、横浜市立大学附属病院 遺伝子診療科 浜之上はるかさんより、「卵巣がん治療における遺伝カウンセリングの実際」として、卵巣胚細胞腫瘍、上皮性卵巣がんなどの背景や実際の診療で留意すべき点について知ることができました。

【教育セミナー7】
教育セミナー7では、国立がん研究センター中央病院 アピアランス支援センター長 野澤桂子さんから、「AYAがん患者へのアピアランスケア-社会全体でその主体性を支援する未来へ-」という内容でAYA世代にとって何故アピアランスケアが必要なのか、A世代・YA世代の特徴を踏まえて支援のあり方を検討する機会を頂いた。

【シンポジウム4】
シンポジウム4では、「AYAの医療と支援におけるICTの可能性-がん医療の未来像を共に描く」という話題が取り上げられました。

東北大学大学院医学系研究科 山口拓洋さんから、患者自身による主観的評価(PRO)の重要性が認識されるようになった今、日本の現状や今後の展開についてのお話、那覇西クリニック 玉城研太郎さんからは、沖縄独自の遠隔地域患者の大規模医療クラウドを利用したAYA世代の患者を対象とする悩み解決ツールの可能性について、東京都立小児総合医療センター 血液・腫瘍科 松井基浩さんから、SNSを活用したAYA世代の支援について、大阪工業大学 大須賀美恵子さんからは、AYA世代の患者や家族支援にロボテックス・ICTを応用することの可能性と実用化の課題について話題提供がありました。また、ディスカッションではそれぞれAYA世代支援にどのように活用していくか議論がなされました。

【教育セミナー8】
教育セミナー8では、一般社団法人CSRプロジェクト 桜井さん、国立がん研究センター 希少がんセンター 川井さん、聖路加国際病院 がん相談支援室 橋本さん、ノバルティスファーマ株式会社 オンコロジー人事部 井原さんの当事者・医療機関・企業人事というそれぞれの立場から初めての試みである、「みんなのラジオ」A~YA期のサバイバーシップが行なわれ就労支援について必要なことが語られました。

今回もWEB開催となった学術集会ですが、VRの交流会など新しい試みも行なわれました。次回第4回は2022年3月20日(日)、21日(祝)にハイブリッド形式で開催予定です。ご参加お待ちしています。

担当:AYA研 広報委員 樋口 麻衣子
(富山大学附属病院 看護師)


【高額療養費の改訂に関する声明文】
2025年度予算案に関する厚生労働大臣と財務大臣の折衝において、医療費が高額になった場合に患者の自己負担額を抑える「高額療養費制度」について、 ひと月あたりの負担上限額が、2025年8月より段階的に引き上げられることが決まりました。 これに対し、患者団体などから、命に直結する治療への影響や治療と生活の両立への不安、拙速な議論に基づく政策決定プロセスの問題に対して、反対の声が上がっており、 そこには多くのAYA世代のがん患者やその家族、支援者の声が含まれています。 がんに関わる医療費による経済的負担は、キャリアや家庭の形成期にあり、経済面での不安がある多くのAYA世代の患者・家族にとって、現状でも重たいものです。 負担額の引き上げは、治療選択だけでなくライフプランにも影響を及ぼし、経済的理由により本来守るべき健康を損なう事態にも陥りかねません。 AYA研は、AYA世代のがんの当事者と医療者、両者の立場から、この政策に反対するとともに、AYA世代の患者の経済的な実態と負担上限額の引き上げが及ぼす影響を精査し、 政策の実施を再考することを求めます。